全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>コラム>世界のバレー会場から 2014/15 Serie A1選手動向

コラム

2014-10-14 12:24 追加

世界のバレー会場から 2014/15 Serie A1選手動向

海外バレーコラム

Others

昨シーズンのモデナvsマチェラータ

昨シーズンのモデナvsマチェラータ

イタリアリーグ「セリエA1」2013/14シーズン決勝戦、8月半ば日本でも放送があったようにレギュラーラウンド1位通過のMacerata(マチェラータ)が3位のPerugia(ペルージャ)を下し、見事3回目の優勝を果たしました。そのマチェラータと準決勝で戦ったのが歴史と伝統あるチーム「Modena volley(モデナバレー)」。そのモデナへ先日、中央大学1年石川祐希選手の移籍が発表され、日本バレー界でも話題になりました。

Modena(モデナ)は昨シーズン、12チーム中レギュラーラウンド4位でプレイオフに進んだものの準決勝でマチェラータに敗退し、ファイナルへ手が届きそうで届かないもどかしい結果に終わっています。ブラジル代表セッター(以下S)のBruno Mossa Rezende(ブルーノ・レゼンデ)や、世界選手権でも活躍したフランスのウイングスパイカー(以下S)Ngapeth(ヌガペット)、セルビアのUroš Kovačevi(ウロシュ・コバチェビッチ)など各国代表選手が在籍するところへ、今シーズンは若手イタリア代表選手数名が移籍。Piano(ピアーノ:ミドルブロッカー以下MB)、Vettori(ベットーリ:オポジット以下O)、Rossini(ロッシーニ:リベロ以下L)、さらにはセルビアのPetrić(ペトリッチ:WS)を、強豪ピアチェンツァやペルージャなどから獲得しています。若い力が集結した注目度の高いモデナ、今季こそは優勝争いに食みそうな勢いです。

チームの存続が危ぶまれたPiacenza(ピアチェンツァ)は、代表クラスの若手選手や、強力なセンター攻撃を繰り出すコンビだったデセッコ(S)、シモン(MB)を失ったものの、Zlatanov(ズラタノフ:WS)、Papi(パピ:WS)は残留。そこへかつてのイタリア代表Vermiglio(ベルミリオ:S)や、ロシア代表Ostapenko(オスタペンコ:MB)、ブラジル代表Da Silva Mario(ダ・シウバ・マリオ:L)が移籍し、実力あるベテランが集結しました。年齢は多少高まりましたが経験豊かなプレーは大きな武器。昨季コッパイタリアを制したピアチェンツァは今シーズンもトーナメント連覇、さらにリーグ優勝も狙いにいくでしょう。

昨シーズン得点王のアタナシェビッチ

昨シーズン得点王のアタナシェビッチ

そんなレギュラーラウンド2位のピアチェンツァを支えたセッターのDe Cecco(デセッコ:アルゼンチン)は、準決勝の相手Perugia(ペルージャ)へ移籍。41歳ベテラン、Vujević(ブエビッチ:モンテネグロWS)や得点王Atanasijević(アタナシエビッチ:セルビアO)、イタリア代表Giovi(ジョビ:L)にButi(ブティ:MB)、昨シーズン、チーム力で力を発揮してきたこの主力選手達とデセッコが、上手く噛み合うかがポイントになりそうです。またWSの穴を埋めるMaruotti(マルオッティ)やドイツのFromm(フロム)がどんな活躍を見せるか、さらには新監督元セルビア代表Grbić(グルビッチ)の初の采配はどうなるのか、今季のペルージャは今のところ未知数です。

ジガドヴォ

ジガドヴォ

強豪チームでありながら昨シーズン成績が振るわなかったTrentino(トレンティーノ)に、大きな力が戻ってきました。監督Stoytchev(ストイチェフ)をはじめ、Kaziyski(カジースキ:ブルガリアWS)にŻygadło(ジガドヴォ:ポーランドS)。長きに渡ってトレンティーノを支えてきたこの2選手はチームに馴染むのに多くの時間は必要ないでしょう。Birarelli(ビラレッリ:MB)、Lanza(ランザ:WS)といった現役イタリア代表やアルゼンチン代表のSole(ソレ:MB)と、力は十分に揃ったトレンティーノ。何としても今シーズンは挽回しファイナル進出を目指したいところです。

戦力を取り戻したトレンティーノに対し昨シーズン優勝チームMacerata(マチェラータ)は、得点源ザイツェフがロシアへと移籍し大きな力を失いました。しかしながら代表経験のあるSabbi(サッビ:O)やFai(フェイ:MB)を獲得。引き続き、イタリア代表Parodi(パロディ:WS)、Kovar(コバル:WS)、Baranowicz(バラノビッツ:S)、セルビア代表Stankovićスタンコビッチ(MB)、Podrascanin(ポドラスチャニン:MB)、ポーランド代表Kurek(クレク:WS)、フランス代表Henno(ヘノ:L)という役者が揃っており、連覇を期待できるチームに変わりはなさそうです。イタリア一の人気を誇るスターを失ったことでコート内外に現れる変化、ここが今季の注目の一つではないでしょうか。

クネオのサポーター達

クネオのサポーター達

存続の危機を免れたチームに反し、昨シーズンをもって廃部になったチームもあります。1958年の設立後、半世紀に渡って発展を遂げてきたCuneo(クーネオ)を拠点とする「ピエモンテバレー」が昨シーズンを以て幕を閉じました。

代わりにA2から昇格したのは、モンツァ、パドヴァ、ミラノの3チーム。Monza(モンツァ)はセルビアのJovović(ヨボビッチ:S)を始め、ブルガリアのGotsev(ゴツェフ:MB)、さらに中国からChen Wang(チェン・ワン:O)を獲得。越川優選手が在籍したことで日本でもおなじみになった、3年ぶりにA1へ戻ってきたPadova(パドヴァ)は、アルゼンチン代表キロガ・ロドリゴの弟、Gonzalo Quiroga(キロガ・ゴンザロ:WS)を獲得し、A1残留を守り抜きたいところです。

A1既存のVerona(ヴェローナ)も2014年ワールドリーグMVPの若きエース、アメリカのSander(サンダー:WS)を獲得し注目大。Molfetta(モルフェッタ)はオランダのKooistra(コーイストラ)をMBではなくOとして起用する見込み。Ravenna(ラベンナ)はアルゼンチン監督Waldo(ワルド)を迎えると共にブラジル選手二名とアルゼンチン選手一名を獲得し、南米色を高めています。Citt di Castello(チッタ・ディ・カステッロ)は元サントリー監督Montagnani(モンタニャーニ)が指揮を獲ることになり、実に13チーム7チームの半数以上が新監督でスタートさせることになりました。

選手監督ともに今季も世界各国から優秀な人材が集結したイリアリーグ、どのチームが優勝カップを手にするのか、結果はもちろんその過程の中で生まれるドラマもまた、世界のバレーファンの心を揺さぶることでしょう。半年ものリーグ期間の中で仕上げられる緻密な攻撃やチーム力、ナショナルチームとはまた違った海外バレーの魅力がそこには詰まっています。ロシアをはじめ他国に人材を奪われつつも、まだまだエネルギー溢れるセリエA1、2014/15シーズンは10月19日(日)18:00(Macerata対Veronaのみ18日17:30~)、開幕予定です。

 

文責:宮﨑治美
長崎県生まれ。2007年ワールドカップをきっかけにバレー観戦を始め、2009年頃から徐々に海外へも観戦に行くように。競技経験はないながらも、コートの中で繰り広げられるドラマ、選手の人間性に魅了され観戦し続けている。

第一回 ロシアリーグ
http://vbw.jp/5161/

第二回 イタリアセリエA1
http://vbw.jp/5267/

第三回 韓国Vリーグ「オールスターゲーム」
http://vbw.jp/5414/

第四回 ヨーロッパ選手権
http://vbw.jp/5760/

第五回 ドイツリーグ
http://vbw.jp/5923/

第六回 ポーランドリーグ
http://vbw.jp/6613/

 

>> コラムのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事

コメント

Sorry, the comment form is closed at this time.

トラックバック