全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>ゲームレポート>ボヨビッチによる全日本男子の洞察その1

ゲームレポート

2014-02-25 18:16 追加

ボヨビッチによる全日本男子の洞察その1

東レアローズ・デヤン・ボヨビッチ選手による提言

全日本代表 男子

全日本男子に対する個人的な洞察 その1

1-DSC_4740デヤン・ボヨビッチ

最近、ここ数年の全日本男子チームの成績について私が誰かと話したり、何かを読んだりした時に、しばしば同じ議論に。いわく、日本人は体格が小柄で、高さが十分でなく、強靱さも十分でなく…などなど。それが日本がより大柄な敵に勝てない理由だと。日本の選手達がほかのほとんどの世界トップチームに比べれば小さいというのは、平均という意味では真実ではあるが、それは本当に彼らが強豪国に有意な結果を残せない理由なのだろうか。

この議論を検証するために、21世紀の初めを振り返ってみよう。この当時、ブラジル代表チームは、高さという意味では巨大な数字を持っていなかった(高身長ではなかった)にもかかわらず、偉大なアスリート集団だった。

  名前   生年月日  身長  体重  SJ   BJ     所属チーム

3

Giovane

07.09.1970

196 89 340 322

Banespa, BRA

5

Henrique

05.04.1978

201 88 337 320

Telemig Celular/Minas, BRA

6

Mauricio

27.01.1968

184 79 321 304

Telemig Celular/Minas, BRA

7

Giba

23.12.1976

192 85 325 312

Ferrara, ITA

9

André

04.03.1979

195 95 340 320

Telemig Celular/Minas, BRA

10

Sérgio

15.10.1975

184 78 325 310

Banespa, BRA

11

Anderson

21.05.1974

190 95 330 321

NEC, JPN

12

Nalbert

09.03.1974

195 82 329 309

Panasonic, JPN

13

Gustavo

23.08.1975

203 98 337 325

Ferrara, ITA

14

Rodrigo

17.04.1979

205 85 350 328

Suzano, BRA

17

Ricardo

19.11.1975

191 89 337 320

Suzano, BRA

18

Dante

30.09.1980

201 86 345 327

Telemig Celular/Minas, BRA

Source: fivb.org  world league 2002

そして、彼らは長い間バレーボールの世界を支配していたのだ。何故か。私は、その理由を彼らが「大きな」相手に対する競争する上での優位性を持っていたからだと思う。異なるプレイスタイル。どんな試合においても、サイドへの速いトス、多様性のあるコンビネーション攻撃、スピーディなバックアタック、献身的なディフェンス、やる気と大きなモチベーションをもっていたこと…。もしあなたが大きな人に勝ちたいなら、筋肉を使うべきではない。

明らかな転機は2008年とそれ以降に起きた。ブラジル代表チームは、長身で強靱な体格を持った選手による新しい「パワーバレーボール」プレイスタイルを導入したのだ。そしてそれとともに彼らの衰退が始まった。彼らはそれまで上手く戦ってきた、キューバやロシアに対して競争力をなくしてしまった。パワー対パワー、数学は簡単だ。よりパワフルな方が勝ちを得る。

今日では、他国のチームが日本と対戦する時、彼らは成果について心配することはない。彼らは勝利を確信し、日本のプレイスタイルを恐れてはいない。それはロープを引っ張るようなことで、ありふれたことなのだ。強者が勝つ。しかし、バレーボールというのは、もっと、それ以上のもののはずだ。過去にその例は豊富にある。バレーボールを 、ロープの引っ張りあいではなくチェスのように考えようではないか。競技上の優位性を見つけて育成することができれば、誰もが勝利できる。 日本の場合、私は、高さと筋力の問題では「ない」とはっきりと主張する。それらは、レセプション(サーブレシーブ)とディグ(スパイクレシーブ)、正確かつトリッキーなフローターサーブ、速いサイドとバックへのセット、ミスの少ない攻撃とサーブ、完璧なブロックフォロー、正しいブロックシステムにおいて顕著なのであり、そして最も重要なことは、大きな確信を持って言うが、モチベーションとエネルギーだ。

もちろん、これが全てではない。全日本男子が表彰台にとどかない控えめな結果しか得られていないことには、別に二つのより大きくて複雑な理由がある。

次回は、それらについての洞察と、うまくいけばいくつかの救済策を提供したい。

デヤン・ボヨビッチ
東レアローズ所属。セルビアのスメデレヴスカ・パランカ出身。ポジションはウィングスパイカー。元セルビア男子代表。

写真:久坂真実

*この記事は、ボヨビッチ選手の許可を得て掲載しています。原文はこちらです。
対訳の詳細等のお問い合わせにはご対応できかねます。ご容赦ください。

>> ゲームレポートのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事

コメント

Sorry, the comment form is closed at this time.

トラックバック